masquerade0324のブログ

とある大学院生のメモ書き

米澤穂信「満願」

はじめに

3月20日に発刊の米澤穂信「満願」を読みました。感想ではあらすじや登場人物を紹介して多分にネタバレになるので、ネタバレが嫌な方は注意してください。

満願

満願

感想

この満願は、6つの短編からなるミステリ短編集です。その短編は次の6つです。

  • 夜警
  • 死人宿
  • 柘榴
  • 万灯
  • 関守
  • 満願

全体

全体の感想として、雰囲気は重いです。それは、人間の心理がとても重いからであると思います。「儚い羊たちの祝宴」ほどではないですが、全体的にダークな印象を抱きました。ミステリでありますが、フーダニットではなく、ホワイダニットではないかと思います。すなわち、なぜそんな謎が起こったのか、ということに焦点が当てられているということです。ある人間がなぜ謎・事件を起こしたのかということが説明されているのですが、その心理描写が上手で、話に引き込まれ、それと同時に物語に重み・厚みを出しています。これが米澤穂信だ、と実感させられます。一気に読んでしまいました。重い雰囲気やダークな雰囲気をこれほど醸し出せる作家はそうそういないのではないかと思います。もちろん古典部シリーズに代表される日常の謎や青春ミステリも大好きなのですが、「儚い羊たちの祝宴」、「ボトルネック」、「リカーシブル」やこの「満願」における雰囲気は米澤穂信の真骨頂と言ってもいいのではないかと考えます。

さて、それぞれについて感想を書いていきます。

夜警

ある交番の交番長と新人のお話です。どんなことが起こるかは言いませんが、「あ、これはダークな感じな作品だぞ」と読んでいて思いました。最初の方は淡々と事実が述べられているのですが、新人警官の兄が登場したあたりから、おや、これはまさか、という感じになってきます。事実ひとつひとつをよく吟味すると、自然と新人警官が発した「うまくいった」という趣旨の意味がわかってくると思います。こういう感覚がたまらないですね。

死人宿

自殺をする人が訪れたりする宿でのお話です。タイトルからして明らかにダークですね。内容もダークです。語り手である男の人が、遺書らしきものを誰が書いたかということを、推理して突き止めて自殺を阻止!というお話です。これはフーダニットですかね。

「それって普通のミステリで別にダークじゃなくね?むしろ自殺止めてるから!」

って思われるかもしれません。私も最後を読むまではそう思っていました。案外ハッピーエンドで終わるなと。しかし、米澤穂信がそんなミステリを書くわけもなく、最後にどん底に突き落とされます。もう1回読んでみると、あぁーやられた、と思いました。視野が狭くなっているということがよくわかりました。この語り手の男もおそらくそうだったのでしょう。やられた感抜群な作品です。

柘榴

はい、タイトルと登場人物からなんとなく連想したことがあたってしまった作品です。登場人物としては、ある一家、正確に言うと夫婦と娘2人であり、話としては、夫婦の離婚に際してどちらに親権が渡るのかを決める裁判(調停?)に関するものです。語り手は、母と長女です。いやー、登場人物の心理描写がすさまじいですね。特に、この長女です。どちらに親権を渡すかが決まるわけですが、なぜそうなったのか、なぜ長女はそういう行動を取ったのかということがわかります。それにしても、この父は最悪だと思いました。登場人物の心境からしたら、愛する人ということになると思いますが。「愛」が関わってくると、ここまで人はやれるのか、と思い知らされます。

万灯

舞台はバングラデシュと日本です。冒頭で語り手がある状況に陥っていることが書かれ、それに続いて、なぜそんなことになってしまったのかが書かれています。はっきりいって、救いはありません。重いです。事実からして重いです。ネタバレですが、語り手は殺人犯です。しかし、問題はそこではありません。ミステリ小説なのに。もちろん探偵役がいるわけではありません。問題は、なぜ殺人をするに至ってしまったのか、そして、冒頭にある状況になぜ陥ってしまったのかです。この語り手の歯車がどこから狂い始めていたのかを考えると、やりきれないですね。ぜひ、救いのない作品をお求めの方はこれを。

関守

舞台は、ある峠の頂上(だったかうろ覚え)にあるちっちゃなドライブウェイのような店で、話は、店主であるおばあさんと、あるライターとの会話です。ライターは都市伝説関係について調査していて、その峠で4年連続で同じ所で人が亡くなっているということを調べに行き、そこでおばあさんに話を聞くという話です。(私を含めた)読者はもちろん、都市伝説ではなくて、なにかの事件だろうと思い、その会話からなぜそのような事件が起こっているのか、さらに犯人は誰かということを考えていくわけですが、まさかという展開になっていきます。ちょっとしたホラー小説かもしれませんね。怖い。

満願

表題作です。これもホワイダニットです。ある女性がなぜ殺人をしたのか。語り手が最後におそらくこういう理由だろうと行き着くわけですが、殺人の動機がこれ?人間は自分の誇りのためには本当に容赦ないと思わされます。優しそうな女性、というのは実はその女性の本質ではないことが段々とわかってきます。

まとめ

素晴らしい作品です。それぞれの作品ごとに、何か得体のしれない力で引っ張られます。人間の業かもしれません。

個人的には「死人宿」、「柘榴」、「関守」は特にお気に入りです。これから何回も読み返すことになりそうです。

また、素晴らしい作品を期待しています。

似鳥鶏「午後からはワニ日和」

今回は、似鳥鶏の「午後からはワニ日和」を読みました。

午後からはワニ日和 (文春文庫)

午後からはワニ日和 (文春文庫)

似鳥鶏の作品らしく、やはり読みやすいです。作品の舞台が動物園で、それに関連した事件が起こるミステリものです。動物園が舞台になっていてい、その飼育員の方々が登場キャラクタというのは珍しいなと思います。事件の真相もなんとも心苦しいというか、事件を解いてすっきり爽快とはいかないぞ!という意志ががひしひしと感じられます。それは似鳥鶏の学園ミステリでもあてはまるのかなと思います。

ミステリとしてはもちろん面白いのですが、それよりも動物園の飼育員は一体どんな仕事をしているのかが物語全体を通してわかるのが大変興味深いところです。やっぱり家族みたいなものなんですかね、というようなことにも思いが向くことになると思います。

これはシリーズ化していて、次の作品もすでに読んだのですが、それはまた後日。

喜多喜久「化学探偵Mr.キュリー」

こんにちは。久しぶりに読んだ本について書いていこうと思います。

今年最初に読んだ本(もう先月ですが)は、喜多喜久の「化学探偵Mr.キュリー」です。

化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)

去年の終わり頃から喜多喜久の作品を読んでいるのですが、化学に関することが結構出てきたりして、いわゆる「理系ミステリ」好きの人には合うのではないかと思います。

「化学探偵Mr.キュリー」もタイトルからわかる通り、化学が関係してます。といっても、本当の探偵ではなくて、探偵役です。実際には大学の理学部化学科の准教授です。ニッチですね(笑)そんなに重い話ではなく、サクサクと読んでいけると思います。ミステリの深さ(と言っていのかわからないですが)は、日常の謎系と同じくらいだと思います。ガリレオは結構ガッチガチなトリックがあったりしますが、こちらはそれほどでもないです。話はすごくわかりやすいと思います。見どころとしては、やはり大学事務の方と探偵役の准教授とのやりとりがおもしろいということだと思います。大学の理系を考えると、さもありなんということも話題として出てくるのでそこら辺がおまけ要素みたいな感じがしておもしろいです。喜多喜久の作品で今まで読んだのは、恋愛要素がかなり出ている感じがしましたが、こちらはミステリ要素が出ていると思います。

久しぶりに自分が思ったことをつらつらと書くのは面白いですね。

あげましておめでとうございます

2014年あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします.

しかしもう2月1日ですね.2014年になってからもう1ヵ月終わってしまいました.早いものです.

今年は何をしたいかな,1ヵ月経ってしまいましたが考えてみました(考えながら書いてます).基本的には次のことに取り組んでいきたいです(やるべきことも楽しんで取り組むことも含めて).

  • 修論修論発表会(現時点では,修論はすでに提出したので残るは修論発表会のみ)
  • 4月からの仕事
  • プログラミングとか計算機科学の自学自習
  • 勉強会への積極的な出席
  • 一昨年,昨年から引き続いて読書(1年で100冊,推理小説以外のジャンルも)
  • ドライブ
  • 音楽関連
  • 大事な人たちとの関わり(家族など)
  • ダイエット(切実)

ぱっと思いつくくらいでもこれだけあるので,実際にはまだまだあると思います.何にしても,健康には気をつけて取り組んでいきたいものです.昨年よりは多く記事を書く(ほとんど備忘録みたいな感じだけど)!というのも一応頭に留めておこうと思います.一応……(二倍三点リーダで普通は使うらしいです)

進捗どうですか?

この記事は,進捗Advent Calendarの8日目の記事です.

1年の進捗具合を考えます.さて,進捗どうでしょう.

研究(修論)

進捗ダメです.なかなか思うようには進んでないです.おおまかに修論に書くことが2つあり,そのうちの1つはすでに大丈夫ですが,もう1つの方は鋭意研究中です.アイディアは固まっているので,あとはその実装少しと,アイディアの正しさの証明です.頑張らねば.

プログラミングの勉強

進捗それなりです.今年はHaskellSchemeをやっていたかなという印象です.来年は社会人になりますが,続けて関数型言語やそれ以外にも手を出したいなと思っています.プログラミングの基礎である理論についてもやりたいなー.

艦これ

進捗良いです.9月の最後の方に始めましたが,順調にいっています.提督レベルは最近90を超えました.現在は4-4を攻略することが目標ですが,駆逐艦を色々と育てたりして脱線しています.艦娘かわいいですね.一番かわいいのは球磨ですね.クマー!

読書

進捗かなり良いです.今年も,去年に引き続き年間100冊を目標にしていますが,今日までにすでに90冊を超えていて,予定通り100冊を達成できそうです.おもしろい本が多くて嬉しい限りです.今年は作家レパートリーを増やしたので,去年よりは作家数で見たら増えたと思います.ただ,今年も森博嗣の本を多分一番読んでます.

総評

進捗それなりです.と言いたいですが,最近は研究のことが頭の大部分をしめているので,ちょっと進捗ダメです.今年も残り20日くらいですが,頑張っていきたいと思います.研究せねば.

というわけで,明日はuchanさんです.進捗どうですか?

米澤穂信「長い休日」(〈古典部〉シリーズ短編)

小説 野性時代 vol.120を購入しました.

小説 野性時代 第120号 (KADOKAWA文芸MOOK 122)

小説 野性時代 第120号 (KADOKAWA文芸MOOK 122)

Amazonではどうも新品は売り切れで,中古価格も高騰しているみたいです.それはなぜかというと,米澤穂信特集であり,その中に〈古典部〉シリーズの新作短編「長い休日」があるからです.本当に〈古典部〉シリーズは人気みたいですね.事前にAmazonで予約しておいてよかったと思っている次第です.

さて,その「長い休日」ですが,高校2年生になった主人公・折木奉太郎のある休日のお話です.主な登場人物は,折木奉太郎千反田えるです.十文字かほもちょっと出てきます.どういうお話かというと,なぜ奉太郎は「やらなくてもいいことなら,やらない」という考え方になったかを,奉太郎自身がえるに聞かせるという話です.そもそも奉太郎が自分から語るなんて熱でもあるのか?と〈古典部〉シリーズの読者なら思うと思いますが,それも含めて読んでいただければよいのかなと思います.また,もちろんミステリ要素があります.すなわち,奉太郎はその理由というか,過去のある出来事をえるに語るのですが,奉太郎がなぜそんな風な考え方に至ったかを示す奉太郎の当時の考えを意図的に隠して語ります.ここがすなわち読者が考えるポイントです.小学生の奉太郎でさえ考えたことなんだから,自分だって考えられるはずだと思ってこの謎に取り組まれるといいと思います.なるほどなーと思いました.絶妙なエピソードだと思います.他のポイントとしては,奉太郎とえるの距離感でしょうか.「遠まわりする雛」でぐっと近付いた(はず)とはいえ,まだまだですね.こちらも見てて面映ゆいですね.そして,このお話の終わりになぜこのタイトルが「長い休日」なのかということがわかります.もちろん一つには,そもそもこのお話がある休日についてだからということもあると思いますが,それ以上の理由があります.肝心なときに奉太郎の姉って出てくる印象ですね.本当に何者なんでしょうか.私,気になります!

やっぱり米澤穂信の文章は好きですね.それは〈古典部〉シリーズや〈小市民〉シリーズのような日常の謎・青春ミステリについてもですし,「ボトルネック」,「儚い羊たちの祝宴」,「リカーシブル」のようなダークなものについてもです.自分に合うんだと思います.これからもずっと読んでいきたい作家さんです.

最後に大事なことを一つ.今回のこの小説 野性時代 vol.120の特集で,〈古典部〉シリーズは主人公たちが卒業するまで書いていくつもりであることが書かれています.うれしいです.これを知ることができただけでもこの雑誌を買った意義があると思います.

Schemeやってます

Schemeやっとはじめた!

ということで,昔からやろうと思っていたSchemeをやっとはじめました.という近況報告(というより自分のためのログ)を書いておこうと思います.最近本も読んでるのに全然書いていないので,今度まとめて思い出しながらあやふやに書こうと思います(笑)

それにしても,見出しにSchemeやっとはじめたとか書く意味なかった.ただ,Markdownも最近書いてないなと思ったので.

それともう一つ.Schemeは,

もうひとつのScheme入門

という紫藤貴文さんの秀逸なWebサイトでまずは勉強しています.すごくいいサイトですね.