桜庭一樹の「青年のための読書クラブ」を読みました.これはかなりよかった!と言える作品でした.

- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/06/26
- メディア: 文庫
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名門女学校「聖マリアナ学園」が舞台となっており,その学園の正史には決して残せないような事件・出来事を,読書クラブの会誌に部員たちが残し,そのうちの5つがこの「青年のための読書クラブ」に収録されています.その5つは以下のものです.
- 烏丸紅子恋愛事件
- 聖女マリアナ消失事件
- 奇妙な旅人
- 一番星
- ハビドゥス&プラティーク
まずもって,この読書クラブの部員たちが個性的です.烏丸紅子恋愛事件に登場する「妹尾あざみ」や「烏丸紅子」,聖女マリアナ消失事件に登場する「マリアナ」とその兄「ミシェール」,奇妙な旅人に登場する扇子を持った三人娘,一番星に登場する「山口十五夜」,ハビドゥス&プラティークに登場する「五月雨永遠」はだれもが変わっていてかつ魅力的です.
上記の5つは,聖女マリアナ学園の1919年から2019年の100年の間に起こったことがそれぞれ書かれていて,どれも時代が違うのですが,その当時の社会背景がよくわかるようになっています.例えば,奇妙な旅人はバブル期の日本を象徴していて,それが学園にも影響を及ぼして事件がーと,この先はネタバレになってしまうので言えませんが,その時代が反映されています.
読書クラブの会誌の形式でまとめられているのは面白いなと思いました.5つはもちろん読書クラブの部員が書いているのですが,しっかりと書いている本人の違いが文章に出ています.
桜庭一樹の作品は少し読んでいますが,今のところこれが一番になりました.また面白い作品を期待しています.