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とある大学院生のメモ書き

米澤穂信「長い休日」(〈古典部〉シリーズ短編)

小説 野性時代 vol.120を購入しました.

小説 野性時代 第120号 (KADOKAWA文芸MOOK 122)

小説 野性時代 第120号 (KADOKAWA文芸MOOK 122)

Amazonではどうも新品は売り切れで,中古価格も高騰しているみたいです.それはなぜかというと,米澤穂信特集であり,その中に〈古典部〉シリーズの新作短編「長い休日」があるからです.本当に〈古典部〉シリーズは人気みたいですね.事前にAmazonで予約しておいてよかったと思っている次第です.

さて,その「長い休日」ですが,高校2年生になった主人公・折木奉太郎のある休日のお話です.主な登場人物は,折木奉太郎千反田えるです.十文字かほもちょっと出てきます.どういうお話かというと,なぜ奉太郎は「やらなくてもいいことなら,やらない」という考え方になったかを,奉太郎自身がえるに聞かせるという話です.そもそも奉太郎が自分から語るなんて熱でもあるのか?と〈古典部〉シリーズの読者なら思うと思いますが,それも含めて読んでいただければよいのかなと思います.また,もちろんミステリ要素があります.すなわち,奉太郎はその理由というか,過去のある出来事をえるに語るのですが,奉太郎がなぜそんな風な考え方に至ったかを示す奉太郎の当時の考えを意図的に隠して語ります.ここがすなわち読者が考えるポイントです.小学生の奉太郎でさえ考えたことなんだから,自分だって考えられるはずだと思ってこの謎に取り組まれるといいと思います.なるほどなーと思いました.絶妙なエピソードだと思います.他のポイントとしては,奉太郎とえるの距離感でしょうか.「遠まわりする雛」でぐっと近付いた(はず)とはいえ,まだまだですね.こちらも見てて面映ゆいですね.そして,このお話の終わりになぜこのタイトルが「長い休日」なのかということがわかります.もちろん一つには,そもそもこのお話がある休日についてだからということもあると思いますが,それ以上の理由があります.肝心なときに奉太郎の姉って出てくる印象ですね.本当に何者なんでしょうか.私,気になります!

やっぱり米澤穂信の文章は好きですね.それは〈古典部〉シリーズや〈小市民〉シリーズのような日常の謎・青春ミステリについてもですし,「ボトルネック」,「儚い羊たちの祝宴」,「リカーシブル」のようなダークなものについてもです.自分に合うんだと思います.これからもずっと読んでいきたい作家さんです.

最後に大事なことを一つ.今回のこの小説 野性時代 vol.120の特集で,〈古典部〉シリーズは主人公たちが卒業するまで書いていくつもりであることが書かれています.うれしいです.これを知ることができただけでもこの雑誌を買った意義があると思います.